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現役診断士が「令和3年度 事例Ⅱ」を解いてみた

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こんにちは。ぶらんちです。今回は令和3年度 事例Ⅱを解いてみました。難易度は例年通り、という印象を受けました。早速行ってみましょう!

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全体構成

問題数は全部で4問です。それぞれの配点が高く、特に第3問は30点ですので外すと痛いです。また全体的に回答字数が少なめで、要素をきちんと絞り込まないと失点しやすい構成となっています。

一方、コロナ禍については出題にガッツリ絡んできました。過去記事では「コロナは設問に関わりはない」と予想していましたが、外れてしまいました…(すみません)

ただ、試験対策としては「イベント開催は提案しづらい」と予想していたので、そういった面では当たりと言えるのではないでしょうか(自分に甘い)。

第1問

令和3年度事例Ⅱ 第1問(配点 20 点)
2021 年(令和 3 年)8 月末時点の B 社の状況を、移動販売の拡大およびネット販売の立ち上げを目的として SWOT 分析によって整理せよ。①~④の解答欄に、それぞれ 30 字以内で述べること。

設問分析

3年連続のSWOT分析です。SWOT分析が重要であることの証左ですね。

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「2021年8月時点」「移動販売の拡大及びネット販売の立ち上げを目的として」という制約条件がありますので、設問要求に沿って整理する必要がありますね。

与件分析

SWOT分析は、設問の回答で使った要素をまとめるイメージですので、最後に解くのがおススメです。合格後の実務補習でも市場調査でたくさんの情報を集めますが、提案に使わなかった要素は最後削ってSWOT分析にまとめます。やり方は同じなので覚えておきましょう!

ぶらんち回答案
  • 強み(S)
    ①地元産大豆、水にこだわった豆腐の品質、②Y社との良好な関係。(30字)
  • 弱み(W)
    ①受注用サイトのノウハウがなく、②主婦層の顧客が少ないこと。(30字)
  • 機会(O)
    自宅での食事にこだわりを持つ家庭が増えていること。(25字)
  • 脅威(T)
    人的接触が避けられオフラインでの集客が難しいこと。(25字)

強みの豆腐の品質(商品力)は当然として、第2問でY社とコラボしたかったので追記しました。

弱みも第2問を念頭に受注用サイト作成のノウハウがないことに触れ、あとは与件文に「主婦層の顧客が少ない」とあるので追記(第4問とつながってます)。

機会は「手作り豆腐セット」のような手間のかかる商品も買ってもらえる環境になっていることを挙げて、第2問に繋げます。

脅威は食事会などのオンラインイベントによる集客・愛顧向上が出来ない状況について書きました。だからECサイトや置き配、新商品開発などの別の手段で売上を確保する、というストーリーですよね。

尚、各項目はそれぞれ5点しかない(と思われる)ので、多少抜け漏れがあっても大勢に影響はないです。「○○を書いていないのおかしい!」「△△を書くの忘れた…」と議論してもあまり生産性は高くないので、さっさと次に行きましょう。

第2問

令和3年度事例Ⅱ 第2問(配点 25 点)
B 社社長は社会全体のオンライン化の流れを踏まえ、ネット販売を通じ、地元産大豆の魅力を全国に伝えたいと考えている。そのためには、どの商品を、どのように販売すべきか。ターゲットを明確にした上で、中小企業診断士の立場から 100 字以内で助言せよ。

設問分析

ネット販売の問題です。ここで注意すべきは回答要素です。忘れないように必ずチェックしましょう。

  • どんなターゲットに
  • どの商品を
  • どのように販売するか

要は「だなどこ(誰に何をどのように)」ですね。回答に自分なりの型が確立できていた方は、与件文の情報を当てはめていけば回答作成に苦労しなかったと思います。

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与件分析

与件文にたくさんの情報があるので引用するのはあきらめ、図にまとめました。

B社が自社受注用サイト作成を断念している一方で、Y社はECサイトを運営しています。Y社ECサイトの顧客は全国の食通です。第2問はネット販売に関する設問なので、まずターゲットと販売方法は一択といっていいでしょう。

問題は「何をどうやって売るか?」です。まず、Y社ECサイトで販売している地元産のものは米と水です。一方、B社では他のECサイトを参考に手作り豆腐セットを移動販売しています。ですが「リモートワークの浸透で自宅での食事にこだわりを持つ家庭が増えている」とある通り、全国的に展開しても問題なさそうです。

ただ、他の豆腐ECサイトでも同様のセット商品は売られているので、差別化が必要です。

そこで豆腐丼の話です。「豆腐に旅をさせるな」ということで出来たての豆腐と、同じ水で炊き上げた新米の相性がとても良く、食事会の参加者に好評でしたが、コロナ禍で提供することが出来ない状況です。

上記の情報を組み合わせれば、自然と回答案は思いつくと思います。

ぶらんち回答案

全国の食通をターゲットに手作り豆腐セットをY社サイトで販売する。コラボ企画と称し豆腐丼のレシピを添えY社の米とペットボトル入り水をセット販売し、地元産大豆の魅力を訴求しつつ他ECサイトとの差別化を図る。(100字)

ちなみに協業を提案するときは、相手企業にもメリットがあるか考慮しましょう。一方的に良いことがあっても、普通協力なんてしてくれません。あくまで目指すのは「Win-Win」です。

第3問

令和3年度事例Ⅱ 第3問(配点 30 点)
B 社のフランチャイズ方式の移動販売において、置き配を導入する場合に、それを利用する高齢者顧客に対して、どのような取り組みを実施すべきか。中小企業診断士の立場から⒜フランチャイザー、⒝フランチャイジーに対して、それぞれ 50 字以内で助言せよ。

設問分析

設問文からは、与件文からどんな情報を入手すべきか「当たりを付ける」くらいしか出来ないと思います。

  • 現状のフランチャイズ方式の仕組み
  • フランチャイザーとフランチャイジーの役割分担
  • 置き配の特徴
  • 高齢者顧客のニーズ

上記の情報を中心に与件文を整理します。

与件分析

フランチャイズ方式の移動販売の特徴

まずは役割分担です。

  • フランチャイザー(B社)
    マーケティング活動・支援活動
  • フランチャイジー
    地域担当での販売に専念

(a)(b)の切り分けは上記の範囲を念頭に考えます。

高齢者とのやり取りは電話が主体です。井戸端会議のきっかけになることも多く、IM(インスタントメッセージ)は敬遠されています。

置き配に求められること

置き配を行うのは、そもそも「人的接触を避けたい」「自宅を不在にする日にも届けてほしい」というニーズに応えるためです。「生協を参考に冷蔵ボックスを使った置き配の開始を検討」とありますが、顧客がスムーズに受け取ってくれるかは分からないので、冷蔵ボックスでの鮮度確保が課題となる(と思います)。

これらを踏まえると、フランチャイザーは「鮮度や衛生面の確保」と「新サービスの広報活動」、フランチャイジーは「電話を主体とした高齢者との関係性強化」といった方向性になるかと考えます。

ぶらんち回答案
  • フランチャイザー
    冷蔵ボックスでの鮮度の確保方法を確立して周知徹底する。チラシを作成・配布して利用者拡大を図る。(47字)
  • フランチャイジー
    顧客とのやり取りは電話にて行い、要望の収集や季節商品の情報提供を行う。密に連絡を取り愛顧を高める。(49字)

第4問

令和3年度事例Ⅱ 第4問(配点 25 点)
B 社では X 市周辺の主婦層の顧客獲得をめざし、豆腐やおからを材料とする菓子類の新規開発、移動販売を検討している。製品戦略とコミュニケーション戦略について、中小企業診断士の立場から 100 字以内で助言せよ。

設問分析

ターゲットは「X市周辺の主婦層」、商品は「新規開発の菓子類」、販売方法は「移動販売」と明記されています。この制約条件を守りながら、回答要素を整理していきます。想定されることは以下の通りです。

  • 製品戦略
    現状B社は菓子類を作っている?
    既存商品はどんなものが人気がある?
  • コミュニケーション戦略
    既存のコミュニケーション戦略は?
    菓子類の時も応用できる?

与件分析

製品戦略

与件文を見る限り、B社はお菓子なんて作ったことないです。どうやって新規開発するのでしょうか?

こんな時は、過去問でよくある「最初の方に登場する企業との協業」です。第2段落に「新しい素材を使った菓子で人気を博す和菓子店」という、「回答に使ってください」感が満載の記述があります。

「新しい素材を使った菓子」って、もうここは豆腐やおからの和菓子しかないですよね!

コミュニケーション戦略

和菓子店とのコラボですから、和菓子店での店舗販売と、B社の移動販売の両方で販売した方がいいですよね。店舗販売の方は、過去の成功事例にデモンストレーション販売がありましたから、試食は行った方がよいでしょう。移動販売の方は人的接触は避ける方向なので、IMでの商品紹介を考えました。ターゲットが主婦層なので、電話にこだわる必要はないと思います。

ぶらんち回答案

製品戦略は同地の和菓子店と新素材の菓子として共同開発する。柚子や銀杏と組み合わせ月替わり商品も販売する。コミュニケーション戦略は、和菓子店では試食を行い、移動販売ではIMによる商品紹介で魅力を訴求する。(100字)

ふぞろいで採点してみた結果

本回答案でどのくらいの点数になるか、気になる方は以下記事をご参照ください。

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まとめ

如何でしたでしょうか?

1次知識を直接問われることもなく、内容としてはオーソドックスだったかと思います。コロナ禍が登場して動揺した面はあったかもしれませんが、冷静に情報整理できれば対処可能だったんではないでしょうか。

ちなみに、ぶらんちが解いた回答案であって「正解」なわけではないことご留意ください(もっと素晴らしい回答案はあると思います)。あくまで参考でお願いします。

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ぶらんち
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中小企業診断士
システムエンジニアとして14年間キャリアを積んだ後にコンサルティングファームに転職。ITコンサルタントとして従事する傍ら、中小企業診断士として伴走支援を実施中。
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