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【2次対策】このキーワードはどこで使う?回答要素の切り分け方

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こんにちは。ぶらんちです。2次試験では「どの設問でどの回答要素を使えばいいかよく分からない」ということが良く起こります。

今回は平成29年度事例Ⅲを例に、どのようにキーワードを選択していったらよいかを解説していきます。
(以下より問題文がダウンロード可能です)

回答分析のプロセスは↓をご参照ください。

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設問分析

整理しなければいけないのは以下2つです。順番に見ていきましょう。

  • 設問で問われていること
  • 与件文にある解答要素

設問キーワードから整理する

まず、「設問で問われていること」を設問にあるキーワードから整理します。

平成29年度事例Ⅲ
第1問
CNC 木工加工機の生産販売を進めるために検討すべき生産管理上の課題その対応策を 140 字以内で述べよ。

第2問
C 社社長は、現在の生産業務を整備して生産能力を向上させ、それによって生じる余力を CNC 木工加工機の生産に充てたいと考えている。それを実現するための課題とその対応策について 120 字以内で述べよ。

第1問生産管理上の課題と対応策です。生産管理とは、QCD(品質・コスト・納期)を最適化するための管理活動のことであり、生産計画生産統制などがあります。

第2問は「生産業務を整備して」とあります。「生産」の定義は広いため悩みますが、「それによって生じる余力をCNC木工加工機の生産に充てたい」と続いているので、生産現場の業務改善と考えるのが自然です(業務フローや手順を見直して効率化を図りたい)。つまり、作業改善設備改善について問われていると考えられます。

どちらも生産性向上施策を問われているわけですが、レイヤーが異なるのが分かりますでしょうか?第1問は計画・仕組みといった生産の前段階の改善、第2問は生産現場の改善なので、与件文の解答要素も上記に従って振り分けていくこととなります。

ちなみに事例Ⅲにおける代表的な設問キーワードは以下となります。

設問キーワード解答すべき内容(レイヤー)
生産管理生産管理・生産統制
生産計画生産管理・生産統制
作業方法作業改善
生産能力向上作業改善
生産工程作業改善
生産面作る活動全般(営業・受注面を除外)
ECRSの原則

作業改善における改善策の考え方です。基本的にはE→C→R→Sの順番で検討します。

  • E(eliminate)
    なくせないか
  • C(combine)
    一緒に出来ないか
  • R(rearrange)
    順番を変更できないか
  • S(simplify)
    単純にできないか

作業改善が問われていることを認識したら、与件文を読む際にはECRSの原則に当てはまりそうな記述を探していきましょう。

与件文の整理

与件については、違和感のある表現を中心にピックアップしていきます。

第3段落
C 社の組織は、社長、常務の他、経理担当1名、設計担当1名、製造部 20 名で構成されている。顧客への営業は社長と常務が担当している。

第6段落
C 社では創業以来、顧客の要求する加工精度を保つため機械の専任担当制をとっており、そのため担当している機械の他は操作ができない作業者が多い。また、各機械の操作方法や加工方法に関する技術情報は各専任作業者それぞれが保有し、標準化やマニュアル化は進められていない

平成29年度事例Ⅲ 与件文抜粋

表現からして問題点っぽいですね。

事業拡大している時に、製造部が20名しかいないにも関わらず専任担当制をとっています。さらに「担当機械以外は操作できない」「情報共有できてない」「標準化やマニュアル化は進められていない」と来れば、「”全部改善しましょう”と提案してほしい」と言っているようなものです。

内容としては生産現場のことなので、第2問の解答要素と判断できます。

第5段落
製造部は機械加工班と製缶板金班で構成され、それぞれ10 名の作業者が加工に従事している。機械加工班は NC 旋盤、汎用旋盤、フライス盤などの加工機械を保有し、製缶板金班はレーザー加工機、シャーリング機、プレス機、ベンダー機、溶接機などの鋼板加工機械を保有している。

第7段落
加工内容については、機械加工班はコンベアなどの搬送設備、食品加工機械、農業機械などに組み込まれる部品加工、鋳物部品の仕上げ加工など比較的小物でロットサイズが大きい機械加工であり、製缶板金班は農業機械のフレーム、建設用機械のバケット、各種産業機械の本体カバーなど大型で多品種少量の鋼材や鋼板の加工が中心である。

第14段落
CNC 木工加工機の生産は、内部部品加工を機械加工班で、制御装置収納ケースなどの鋼板加工と本体塗装を製缶板金班でそれぞれ行い、それに外部調達した CNC 制御装置を含めて組み立てる。これまで製造部では専任担当制で作業者間の連携が少なかったが、この新規事業では、機械加工班と製缶板金班が同じ CNC 木工加工機の部品加工、組み立てに関わることとなる。なお、最終検査は設計担当者が行う。

平成29年度事例Ⅲ 与件文抜粋

上記から読み取れる内容を、既存事業と新規事業で整理すると以下の通りです。

既存事業
  • 機械加工班と製缶板金班で機械の取り合いは無い(っぽい)
  • 機械加工班は多量生産、製缶板金班は多品種少量生産
  • 各班の連携は少ない
新規事業
  • CNC制御装置は調達リードタイムがある
  • 製造には機械加工班と製缶板金班の連携が必要

既存事業の内容から、機械加工班と製缶板金班の生産計画・生産統制は独立していると考えて良さそうです。「統合してほしい」感が満載ですね。

一方、新規事業についてはどうでしょうか。CNC木工加工機の制御装置は外部調達品のためリードタイムの考慮が必要です。さらに、各班とも既存の加工作業を行いつつ新規事業にも関わるとなれば、生産計画の統合第1問の解答要素として確定でしょう。

ちなみに、現在各班の作業員数はちょうど10名ずつとなっていますが、生産計画を統合する際には既存事業・新規事業の受注量に合わせ柔軟に作業員配置を変えられた方がいいですよね。そういう意味で、専任担当制の廃止を提案する根拠にもなっています。

回答作成時の注意

あとは回答に落とし込むだけです。今回の設問では「課題と対応策」なので、「課題は~。対応策は~。」が定型フォーマットです。与件文にあるのは問題点なので、課題に変換する必要があることだけ注意です。
(問題点と課題の違いについては、以下リンクご参照)

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ぶらんち回答案

第1問
課題は、生産量増加に対応した生産計画の立案及び生産統制の強化を行い、納期を遵守した生産体制を構築することである。対応策は、①機械加工班と製缶板金班の生産計画を統合し、外部調達のリードタイムを加味した生産計画とする、②工程全体の進捗・余力・現品管理を一元的に行う、ことである。

第2問
課題は作業員の多能工化を進め、生産計画に柔軟に対応できる生産体制を構築することである。対応策は①標準化やマニュアル化を進め、②技術情報を共有化し、③計画的にOJTを行う、ことで複数の機械を担当できる作業者を増やし、各班の連携を強化する。

まとめ

如何でしたでしょうか。

切り分けのヒントとなる設問条件はたくさんあり、過去問を1・2問やったくらいではなかなか身につかないと思います。毎年「新しい切り口の問われ方」みたいな設問は登場するものの、過去問の積み重ねがあれば対応できないこともないです。

なので、事例Ⅰ~Ⅲは直近5年分は解く時間を確保頂きたいな~と思います。

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ぶらんち
ぶらんち
中小企業診断士
システムエンジニアとして14年間キャリアを積んだ後にコンサルティングファームに転職。ITコンサルタントとして従事する傍ら、中小企業診断士として伴走支援を実施中。
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