2次試験対策

現役診断士が「令和4年度 事例Ⅲ」を解いてみた

こんにちは。ぶらんちです。今回は令和4年度 事例Ⅲです。更新ペースが遅くて申し訳ないです…。では早速みてみましょう!

全体構成

問題数は全部で5問です。事例Ⅲで特徴的な「120字」という少し長めの設問もありますが、全体の回答字数は標準的です。また、昨年に比べると各設問の切り分けは比較的分かりやすい印象でした。

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個人的な感想ながら、過去問をしっかりと解いてきた受験生には「普通」もしくは「易化」と感じたのではないかと思います。

第1問

令和4年度事例Ⅲ 第1問(配点 20 点)
2020 年以降今日までの外部経営環境の変化の中で、C 社の販売面、生産面の課題を 80 字以内で述べよ。

設問分析

事例Ⅲの最初はだいたい「強み」と「弱み」の分析ですが、令和4年度は課題の抽出となりました。ただ、問われ方が変わっただけでSWOT分析は必要ですので、それらを踏まえて販売面、生産面の切り口で整理すれば良いと思います。

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尚、「2020年以降今日までの」とあるので、それより前の情報は回答に入れないように注意しましょう。

予件分析

近年は観光需要で受注量は毎年増加していたが、2020 年からの新型コロナウイルス感染拡大による外国人の新規入国規制や、外食産業の営業自粛による影響を受けて減少している。

令和4年度事例Ⅲ 予件文(第3段落)

X 社では、コロナ禍の 2020 年以降も売上が順調に推移しているが、その要因の一つとしてアウトドア商品売上の貢献がある。しかし新型コロナウイルスのパンデミックにより、中国や東南アジア諸国企業に生産委託している PB 商品の納品に支障が生じて、生産、物流など現在のサプライチェーンの維持が難しくなっている。また今後も海外生産委託商品の仕入れ価格の高騰が懸念されることから、生産委託先を C 社へ変更することについて C 社と相互に検討を行った。

令和4年度事例Ⅲ 予件文(第14段落)

本事例における「2020年以降今日まで」の状況は上記の通りです。コロナ禍による外部環境変化により、既存事業の受注量が減少する一方で、X社との大口取引が期待できる状況です。

それらに対応するために、C社の強みの強化、弱みの克服として挙げられることが即ち課題です。単純に「弱み」を書かないように注意しましょう。

ぶらんち回答案

販売面の課題は、高品質の強みを活かした取引先拡大、価格帯上昇による利益率向上である。生産面の課題は、生産プロセスを見直し短納期化・小ロット化に対応することである。(80字)

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第2問

令和4年度事例Ⅲ 第2問(配点 20 点)
C 社の主力製品であるプレス加工製品の新規受注では、新規引合いから量産製品初回納品まで長期化することがある。しかし、プレス加工製品では短納期生産が一般化している。C 社が新規受注の短納期化を図るための課題とその対応策を 120 字以内で述べよ。

設問分析

120字と長いですが、課題と対応策で回答欄が分割されいないため字数のコントロールはしやすいです。

プレス加工製品の「新規受注の短納期化を図るための」ということで、主に新規引き合いから初回納品までの課題と対応策をまとめます。おそらく顧客との打ち合わせとか金型づくりなどで納期長期化の要因があると推察されます。

尚、量産に入ってからのことは回答に入れないです。当然、プレス加工製品以外のことも回答要素ではないです。

予件分析

 プレス加工製品の生産プロセスには、金型を製作する金型製作工程と、その金型を利用して同じ製品の繰返受注生産を行う製品量産工程がある(次ページの図参照)。

 C 社の金型製作工程は、発注元から提示される形状やサイズの概要を表したデザイン図を基に仕様を確認した後に「金型設計」を行い、金型を構成する部品を製作する「金型部品加工」、加工した部品を組み立てる「金型組立」、その後の調整や研磨などを行う「金型仕上」を経て、「試作確認」を行い、さらに試作品の品質を発注元との間で確認して完成する。設計開始から完成までの金型製作期間は、難易度によって異なるが、短いもので約 2 週間、長いもので約 1 か月を要する

「金型設計」は、設計課が 2 次元 CAD を活用し担当している。発注元との仕様確認が遅くなることや、発注元からの設計変更、仕様変更の要請があり、設計期間が長くなることもある。また設計課では、個別受注の板金加工製品の製品設計も担当するため、設計業務の混乱が生じ金型製作期間全体に影響することもしばしば生じている。

「金型組立」、「金型仕上」は、プレス加工技術にも習熟するベテラン技能者が担当しているが、高齢化している。担当者は、金型の修理や改善作業も兼務し、製品の品質や製造コストに影響を及ぼす重要なスキルが必要なことから、若手の養成を検討している。

令和4年度事例Ⅲ 予件文(第5~8段落)

設問分析の通り、C社のプレス加工製品の生産プロセスは金型製作工程と製品量産工程に分かれてます。そして、本設問で回答すべきは金型製作工程の改善です。第7、8段落に弱みが羅列されていますので、それらを課題に書き換えれば、回答要素に困ることはないと思います。

ぶらんち回答案

課題は、①金型設計期間の短縮、②設計業務の混乱解消、③プレス加工技術者の余力確保、である。対応策は①3次元CADを導入して発注元との仕様決定を迅速化、②個別受注品との設計担当を分ける、③金型組立・仕上も専業化しOJTにより若手を養成、である。(120字)

ちなみに「2次元CAD」という表現は令和2年度事例Ⅲでも登場しました。3次元CADにすれば、立体的に確認が出来るので摺り合わせの時間が短縮される、という意味で回答に盛り込んだのですが、実際は3次元CADは非常に高価で、使い方も2次元CADに比べると難しいそうです。

製造現場に近いお仕事をされている受験生ほど、書きたくない項目かもしれませんね。

第3問

令和4年度事例Ⅲ 第3問(配点 20 点)
C 社の販売先である業務用食器・什器卸売企業からの発注ロットサイズが減少している。また、検討しているホームセンター X 社の新規取引でも、 1 回の発注ロットサイズはさらに小ロットになる。このような顧客企業の発注方法の変化に対応すべきC 社の生産面の対応策を 120 字以内で述べよ。

設問分析

第2問と打って変わって、量産工程に関する設問です。設問文から、C社は製造ロットサイズが大きく顧客要望に対応できていないと想定されます。業務用食器・什器卸売企業向け製品の製造工程、及びホームセンターX社の新規取引条件について整理して、小ロット対応について回答をまとめます。

予件分析

金型が完成した後の製品量産工程は、発注元から納品月の前月中旬に製品別の生産依頼数と納品指定日が通知され、それに基づいて前月月末までに「月度生産計画」を作成して「資材発注」する。プレス加工課では「プレス加工」を行い、製品仕上課で取っ手などの部品を組み付ける「製品部品組付」と製品の最終調整をする「製品仕上」を行い、通常月 1 回発注元へ納品する。

C 社の「プレス加工」は、生産能力に制約があり、C 社全体の生産進捗に影響している。プレス加工機ごとに担当する作業員が材料の出し入れと設備操作を行い、加工製品を変えるときには、その作業員が金型交換作業と材料準備作業など長時間の段取作業を一人で行っている

プレス加工製品の生産計画は「プレス加工」の計画だけが立案され、「製品部品組付」、「製品仕上」はプレス加工終了順に作業する。生産計画は、各製品の 1 日間の加工数量でそれぞれの基準日程を決めて立案する。以前は発注元もこれを理解して、C社の加工ロットサイズを基本に発注し、C 社で生産した全量を受領して、発注元で在庫対応していた。しかし、最近は発注元の在庫量削減方針によって発注ロットサイズが減少している。ただ C 社では、基準日程によって設定しているロットサイズで加工を続け、確定受注量以外は C 社内で在庫している。

令和4年度事例Ⅲ 予件文(第9~11段落)

既存工程の問題点は9~11段落にあります。これまでは発注元が全量を受領して在庫管理してもらっていましたが、最近はC社が在庫するようになってしまいました。この状態ではC社は在庫保管のコストが膨らんでしまいますので、在庫量を減らすための対策が必要です。

X 社からの受注品は、商品在庫と店舗仕分けの機能を持つ在庫型物流センターへの納品となり、商品の発注・納品は、次のようになる。まず四半期ごとに X 社が商品企画と月販売予測を立案し、C 社に情報提供される。確定納品情報については、X社各店舗の発注データを毎週月曜日に X 社本社で集計する。在庫量からその集計数を差し引いて発注点に達した製品について X 社の発注データが C 社に送付される納期は発注日から 7 日後の設定である。 1 回の発注ロットサイズは、現状のプレス加工製品と比べるとかなり小ロットになる。

令和4年度事例Ⅲ 予件文(第17段落)

X社の新規取引では、毎週月曜日に発注データが送られてきて、しかも発注日から7日後の納品という短納期です。今までは月1回かつプレス加工のみの生産計画でしたから、そのままでは対応できません。

ということで、上記問題点を解決する内容が回答要素になります。

ぶらんち回答案

対応策は①生産計画は工程全体で作成し月次から週次に変更する、②プレス加工は段取り作業を複数人で行い、金型や材料準備作業の外段取り化を進める。これらにより基準日程から受注量に基づいたロットサイズ設定に変更し、顧客企業の小ロット化要望に対応する。(120字)

第4問

令和4年度事例Ⅲ 第4問(配点 20 点)
C 社社長は、ホームセンター X 社との新規取引を契機として、生産業務の情報の交換と共有についてデジタル化を進め、生産業務のスピードアップを図りたいと考えている。C 社で優先すべきデジタル化の内容と、そのための社内活動はどのように進めるべきか、120 字以内で述べよ。

設問分析

デジタル化でまず思い浮かべるのはDRINKです。DRINKとは、デジタル化(情報化・システム化)で実現されるモノ・コトを表した語呂合わせです。

  • D:データベース
  • R:リアルタイム
  • I:一元管理
  • N:ネットワーク
  • K:共有

「生産業務の情報の交換と共有」ということで、おそらく受注情報や生産計画・生産進捗のリアルタイム共有がしたいと想定されます。なので、データベース化や一元管理という回答要素は十分に考えられます。

予件分析

C 社の受注から納品に至る社内業務では、各業務でパソコンを活用しているが、情報の交換と共有はいまだに紙ベースで行われている。

令和4年度事例Ⅲ 予件文(第12段落)

X 社からの受注品は、商品在庫と店舗仕分けの機能を持つ在庫型物流センターへの納品となり、商品の発注・納品は、次のようになる。まず四半期ごとに X 社が商品企画と月販売予測を立案し、C 社に情報提供される。確定納品情報については、X社各店舗の発注データを毎週月曜日に X 社本社で集計する。在庫量からその集計数を差し引いて発注点に達した製品について X 社の発注データが C 社に送付される。納期は発注日から 7 日後の設定である。 1 回の発注ロットサイズは、現状のプレス加工製品と比べるとかなり小ロットになる。

令和4年度事例Ⅲ 予件文(第17段落)

ほぼ設問分析そのままでした(笑)強いていえば、社内活動としてピックアップする内容が少しばらけるかな?という程度で、どの受験生もだいたい同じことを書いたのではないかと思います。

ぶらんち回答案

優先すべき内容は、月販売予測や確定納品情報等の受注情報、生産計画や生産進捗の情報をデータベース化して一元管理し、各部がパソコンでリアルタイムに情報共有できる環境の構築である。社内活動は①社内ルールの整備、③教育体制の構築、である。(115字)

第5問

令和4年度事例Ⅲ 第5問(配点 20 点)
C 社社長が積極的に取り組みたいと考えているホームセンター X 社との新規取引に応えることは、C 社の今後の戦略にどのような可能性を持つのか、中小企業診断士として 100 字以内で助言せよ。

設問分析

「今後の戦略にどのような可能性をもつのか」とは、何を答えればいいのか悩む言い回しです。

X社との新規取引を通じて獲得するであろう「新たな強み」により、既存事業へのシナジーや新規顧客の獲得につながる可能性をもつということを回答するんだろうな、ということは分かりますが、まとめ方が大変そうです。

予件分析

近年は観光需要で受注量は毎年増加していたが、2020 年からの新型コロナウイルス感染拡大による外国人の新規入国規制や、外食産業の営業自粛による影響を受けて減少している

令和4年度事例Ⅲ 予件文(第3段落)

数年前 C 社では受注拡大を狙って、雑貨・日用品の商談会に出展したことがある。その際商談成立には至らなかったが、中堅ホームセンター X 社から品質を高く評価された。今回その X 社から新規取引の商談が持ち込まれた。

X 社では、コロナ禍の 2020 年以降も売上が順調に推移しているが、その要因の一つとしてアウトドア商品売上の貢献がある。しかし新型コロナウイルスのパンデミックにより、中国や東南アジア諸国企業に生産委託している PB 商品の納品に支障が生じて、生産、物流など現在のサプライチェーンの維持が難しくなっている。また今後も海外生産委託商品の仕入れ価格の高騰が懸念されることから、生産委託先を C 社へ変更することについて C 社と相互に検討を行った。

C 社社長は、当該事業の市場成長性と自社の強みを考慮して戦略とビジネスプロセスを見直し、積極的にこの事業に取り組むこととした。

X 社の要請は、X 社のアウトドア用 PB 商品のうち、中価格帯の食器セット、鍋、その他調理器具などアルミニウム製プレス加工製品の生産である。ただ C 社社長は、今後高価格な製品に拡大することも期待している。

令和4年度事例Ⅲ 予件文(第14~16段落)

コロナ禍の影響で、既存製品の受注量は減少しています。一方、X社はコロナ禍においてもアウトドア需要にうまく対応し、売上は順調に推移、市場成長性も高いです。また、現在のサプライチェーンに参入することで長期的な取引も期待できます。

最初は中価格帯製品の生産からのスタートですが、もともとC社の高い品質を評価されての商談なので、高価格な製品への拡大も大いに期待できます。

ということで、X社はコロナ禍にも強い取引先で市場成長性も高いこと、サプライチェーンに参入できそうであること、高価格帯製品で利益率が向上する可能性があることなどをまとめました。

ぶらんち回答案

今後の戦略にもつ可能性は、①既存取引先とは異なる市場成長性により、受注量が安定し経営リスクが分散、②サプライチェーン参入による売上拡大、③中価格帯から高価格帯への製品拡大による利益率向上、である。(98字)

…①がちょっとまどろっこしいですね。もっとスマートにまとめられるかもしれませんが、そこは御愛嬌で(笑)

まとめ

如何でしたでしょうか?

ここ2・3年に比べ、比較的設問文の段階で回答要素の切り分けが出来るヒントが多かったように思います。その分、受験生同士の解答のバラつきが少ない可能性があり、少しの違いで点数に大きく影響する可能性もあります。

「思ってるほど点数が伸びなかった」「こんな高得点意味分からん」が多数起こりそうな事例と感じました。

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