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【2023年度】中小企業白書・小規模企業白書に関する出題傾向を予想!

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こんにちは。ぶらんちです。先日2023年度版の中小企業白書・小規模企業白書が公表されました。

1次科目である中小企業経営・政策、とくに中小企業経営の範囲は中小企業白書・小規模企業白書の統計情報・傾向分析からの出題が多いです。ただ前年度からの出題ですので、本来受験生が確認すべきは2022年度版です。

とはいえ、2022年度と2023年度で事情が大きく変わってしまった事柄は出題しづらいと思いますので、2023年度の分析も結構大事だったりします。

そこで今回は、2022年度版と2023年度版で共通している事項を抜き出して、傾向分析をしてみたいと思います!

以降に登場する図表は全て経済産業省の「中小企業白書・小規模企業白書をまとめました」からの引用です。

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2022年度版の概要

2年に及ぶ新型コロナウイルス感染症の流行や原油・原材料価格の高騰、部材調達難、人材不足といった厳しい状況下においても、新たな挑戦を行うためにはどのような取組が必要なのかについて分析しています。

「事業者の自己変革」をテーマに、ウィズコロナ、アフターコロナの各フェーズにおいて、事業者にとって必要な取組みについて取り上げられています。

2022年度版のポイント
  • 2022年2月時点においても、コロナ禍の影響を受けていると回答した中小企業は全体の73.8%
  • 資金繰り支援策などにより倒産件数は6,030件と57年ぶりの低水準
  • 但し新型コロナウイルス関連破たんの件数は増加傾向
  • 感染症流行後では、いずれの金融機関においても貸出残高が増加
  • 最低賃金は継続的に引き上げられており、2020年を除き、近年は引上げ幅も大きくなっている
  • 中小企業の製造業は、約6割が感染症によるサプライチェーンへの影響を受けていると回答
  • 中小企業におけるM&Aは増加傾向。後継者不在企業の割合は低下
  • SDGsの取組への意識が高まっている
  • 事業方針におけるデジタル化の優先順位が年々高まっている
  • 海外展開のため、越境ECの利用が増加傾向
  • 脱炭素化に向けた取り組みが活発化(グリーン化)
  • 宿泊業・飲食サービス業で事業再構築の実施割合が高い
  • 感染症の影響を受けた小規模事業者の7割市場浸透に取り組んでいる
  • エネルギー価格・原材料価格の高騰への対応だけでなく、中小企業における賃上げといった分配の原資を確保する上でも、取引適正化は重要
  • 経営者自らが自己変革を進めるためには、支援者・支援機関が対話を重視した伴走支援を行うことが有効

2021年はコロナ禍2年目ということで影響が色濃く、金融機関等の積極的な貸出により、倒産件数は57年ぶりの低水準となりました。一方、コロナ禍への対策が進んだことにより徐々に持ち直す業界も増えてきており、需要に供給が追い付かず生産活動や部材調達といった供給面で影響が出てきています。年が明けた2022年は、ウクライナ情勢の緊迫化で燃料や非鉄金属などの取引価格が上昇傾向になったり、資材や電力価格など物価上昇も著しかったです。また、経営上の不安として人材の確保・育成を挙げる企業が増えており、計画的なOJT研修やOFF-JT研修を実施し、従業員の能力開発を進めることが重要となりました。

そんな中、中小企業でもSDGsの取り組みへの意識やデジタル化の優先順位が高まっており、越境ECを利用している企業の割合も増加傾向です。さらに脱炭素化に取り組む企業では企業価値向上を実感している等、新分野に積極的に取り組むことが重要であることが分かります。

事業再構築がカギ

中小企業白書・小規模企業白書には明記されていないものの、2021年の成功事例を活かして事業再構築の取り組みを積極的に支援する動きがありました。

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白書の中では、事業再構築を行うことで売上面の効果だけでなく、既存事業とのシナジー従業員のモラール向上といった効果を取り上げています。

2023年度版の概要

2022年はコロナ禍3年目ということもあり、ウィズコロナ・アフターコロナがかなり浸透し、社会全体が正常化に向かっていった年です。だんだんとコロナ関連のニュースが少なくなり、徐々に対面型事業も活気を取り戻しました。

どちらかといえばウクライナ情勢による物価高騰など、マクロ経済の激変のほうが影響が大きかったといえるのではないでしょうか。

2022年度版のポイント
  • コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、中小企業の売上高は感染症流行前の水準に戻りつつある
  • 宿泊や交通など、業種によっては引き続き厳しい状況が続いている
  • コロナ関連融資の返済期限もピークを迎えるため、収益力改善事業再生支援が重要
  • 賃上げ促進のためには、価格転嫁生産性向上が重要
  • 物価高等のマクロ経済環境の変化を踏まえ、価格転嫁を取引慣行として定着させることが重要
  • 生産性向上に向けて、GXやDXを新たな挑戦の機会ととらえ、投資の拡大やイノベーションの実現が重要
  • 足下では、入国・行動規制の緩和等により、インバウンドや宿泊者数が増加
  • 物価高により、中小企業は収益減少等の影響を受けている。
  • 値上げだけでなく経費削減業務効率化による収益力向上等に取り組んでいる。
  • 深刻な人手不足労働時間の制約といった課題にも直面している。
  • 人手不足に対応するため、省力化投資等を通じた生産性向上等に取り組んでいる
  • M&Aは価値創出に向けた戦略実現のための手段でもあり、その件数は、近年増加傾向
  • 事業者による地域課題解決の取組が見られ、今後の増加も予想される(自治体において事業者への期待も高まっている)
  • 事業方針におけるデジタル化の優先順位が年々高まっている
  • 経営者自らが自己変革を進めるためには、支援者・支援機関が対話を重視した伴走支援を行うことが有効

価格転嫁の取引慣行の定着化が重要と考えており、中小企業庁が価格交渉の具体的な進め方を積極的に情報発信しています。価格転嫁が重要視される理由は、物価高騰人手不足です。物価高騰については、日本経済全体の課題として注目が集まり、価格転嫁しやすい環境となりましたが、問題は人手不足です。

コロナ禍からの回復で急増している需要に対し、供給側が追い付いていない状況が続いており、賃上げ・所得の向上による人材確保が急務です。ところが、物価高騰に比べて賃上げの価格転嫁は認められにくい傾向があり、商習慣の改善とともに、企業努力(生産性向上)にも力を入れましょう、ということのようです。

海外リスク上昇のためか、越境ECはトーンダウンしています。代わりに地域密着の取り組みを推進しており、中小企業経営・政策の出題にも影響があるかもしれません。

事業再構築は主旨が変化

2022年度の白書では、ことさら価値創出の実現が重要視されており、競合他社と異なる価値の創出、競合他社の少ない市場への参入や創出が企業の成長につながる、と説いています。

つまり、「強みを生かして新規事業を実行し、シナジーを発揮しよう」から一歩進んで、「強みを生かしつつ、競争回避を意識した事業展開をし成長をめざそう」に変化しています。

おそらく、事業再構築補助金事業において、「同じような業種から同じような新規事業案がたくさん申請される」という事態になったんだと思います。新しい事業でも、同じことをする事業者が増えれば競争が発生し成長に結びつかない、という分析がされたと予想されます。

実際、第10回の事業再構築補助金の公募要領から内容が激ムズになっています。「自分の強みを生かしただけ」ではダメで、いかに競争を回避するかも示す必要があります。「大企業に模倣されたら」も想定しなくてはいけないし、市場分析やマーケティングの知識がないと採択されることはまず難しいでしょう。

2022年度と2023年度の共通項

2022年度版はコロナ2年目、2022年度版はコロナ3年目+世界情勢の激変、ということで、差分が結構大きいです。その中でも、大きな方向性は以下になるかと思います。

共通のポイント
  • コロナ禍は回復傾向だが、特に宿泊業などはいまだ影響が大きい
  • 経営上の課題は人材の確保・育成
  • デジタル化による生産性向上の取り組みが注目されている
  • 事業承継、M&Aは推進

まとめ

如何でしたでしょうか?

内容としてはだいぶ端折りましたが、傾向分析としては十分ではないかと思います。中小企業白書・小規模事業白書にはたくさんの図表が出てくるので、全部の数字を覚えるのはなかなか難しいと思います。上記のような方向性を覚えておくだけでも、ある程度選択肢を絞ることが出来るのではないでしょうか!

ちなみに、中小企業診断士が今何を求められているのかを知るために非常に重要な資料です。なので、一度はキチンと読んでみることをおススメします!

ABOUT ME
ぶらんち
ぶらんち
中小企業診断士
システムエンジニアとして14年間キャリアを積んだ後にコンサルティングファームに転職。ITコンサルタントとして従事する傍ら、中小企業診断士として伴走支援を実施中。
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