【2023年度】中小企業白書・小規模企業白書に関する出題傾向を予想!
こんにちは。ぶらんちです。先日2023年度版の中小企業白書・小規模企業白書が公表されました。
1次科目である中小企業経営・政策、とくに中小企業経営の範囲は中小企業白書・小規模企業白書の統計情報・傾向分析からの出題が多いです。ただ前年度からの出題ですので、本来受験生が確認すべきは2022年度版です。
とはいえ、2022年度と2023年度で事情が大きく変わってしまった事柄は出題しづらいと思いますので、2023年度の分析も結構大事だったりします。
そこで今回は、2022年度版と2023年度版で共通している事項を抜き出して、傾向分析をしてみたいと思います!
2022年度版の概要
2年に及ぶ新型コロナウイルス感染症の流行や原油・原材料価格の高騰、部材調達難、人材不足といった厳しい状況下においても、新たな挑戦を行うためにはどのような取組が必要なのかについて分析しています。
「事業者の自己変革」をテーマに、ウィズコロナ、アフターコロナの各フェーズにおいて、事業者にとって必要な取組みについて取り上げられています。
2021年はコロナ禍2年目ということで影響が色濃く、金融機関等の積極的な貸出により、倒産件数は57年ぶりの低水準となりました。一方、コロナ禍への対策が進んだことにより徐々に持ち直す業界も増えてきており、需要に供給が追い付かず生産活動や部材調達といった供給面で影響が出てきています。年が明けた2022年は、ウクライナ情勢の緊迫化で燃料や非鉄金属などの取引価格が上昇傾向になったり、資材や電力価格など物価上昇も著しかったです。また、経営上の不安として人材の確保・育成を挙げる企業が増えており、計画的なOJT研修やOFF-JT研修を実施し、従業員の能力開発を進めることが重要となりました。
そんな中、中小企業でもSDGsの取り組みへの意識やデジタル化の優先順位が高まっており、越境ECを利用している企業の割合も増加傾向です。さらに脱炭素化に取り組む企業では企業価値向上を実感している等、新分野に積極的に取り組むことが重要であることが分かります。
事業再構築がカギ
中小企業白書・小規模企業白書には明記されていないものの、2021年の成功事例を活かして事業再構築の取り組みを積極的に支援する動きがありました。
白書の中では、事業再構築を行うことで売上面の効果だけでなく、既存事業とのシナジーや従業員のモラール向上といった効果を取り上げています。
2023年度版の概要
2022年はコロナ禍3年目ということもあり、ウィズコロナ・アフターコロナがかなり浸透し、社会全体が正常化に向かっていった年です。だんだんとコロナ関連のニュースが少なくなり、徐々に対面型事業も活気を取り戻しました。
どちらかといえばウクライナ情勢による物価高騰など、マクロ経済の激変のほうが影響が大きかったといえるのではないでしょうか。
価格転嫁の取引慣行の定着化が重要と考えており、中小企業庁が価格交渉の具体的な進め方を積極的に情報発信しています。価格転嫁が重要視される理由は、物価高騰と人手不足です。物価高騰については、日本経済全体の課題として注目が集まり、価格転嫁しやすい環境となりましたが、問題は人手不足です。
コロナ禍からの回復で急増している需要に対し、供給側が追い付いていない状況が続いており、賃上げ・所得の向上による人材確保が急務です。ところが、物価高騰に比べて賃上げの価格転嫁は認められにくい傾向があり、商習慣の改善とともに、企業努力(生産性向上)にも力を入れましょう、ということのようです。
海外リスク上昇のためか、越境ECはトーンダウンしています。代わりに地域密着の取り組みを推進しており、中小企業経営・政策の出題にも影響があるかもしれません。
事業再構築は主旨が変化
2022年度の白書では、ことさら価値創出の実現が重要視されており、競合他社と異なる価値の創出、競合他社の少ない市場への参入や創出が企業の成長につながる、と説いています。
つまり、「強みを生かして新規事業を実行し、シナジーを発揮しよう」から一歩進んで、「強みを生かしつつ、競争回避を意識した事業展開をし成長をめざそう」に変化しています。
おそらく、事業再構築補助金事業において、「同じような業種から同じような新規事業案がたくさん申請される」という事態になったんだと思います。新しい事業でも、同じことをする事業者が増えれば競争が発生し成長に結びつかない、という分析がされたと予想されます。
実際、第10回の事業再構築補助金の公募要領から内容が激ムズになっています。「自分の強みを生かしただけ」ではダメで、いかに競争を回避するかも示す必要があります。「大企業に模倣されたら」も想定しなくてはいけないし、市場分析やマーケティングの知識がないと採択されることはまず難しいでしょう。
2022年度と2023年度の共通項
2022年度版はコロナ2年目、2022年度版はコロナ3年目+世界情勢の激変、ということで、差分が結構大きいです。その中でも、大きな方向性は以下になるかと思います。
まとめ
如何でしたでしょうか?
内容としてはだいぶ端折りましたが、傾向分析としては十分ではないかと思います。中小企業白書・小規模事業白書にはたくさんの図表が出てくるので、全部の数字を覚えるのはなかなか難しいと思います。上記のような方向性を覚えておくだけでも、ある程度選択肢を絞ることが出来るのではないでしょうか!
ちなみに、中小企業診断士が今何を求められているのかを知るために非常に重要な資料です。なので、一度はキチンと読んでみることをおススメします!