中小企業診断士試験
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事業再構築補助金は中小企業診断士が大活躍!

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こんにちは。ぶらんちです。このところ事業再構築補助金申請のため事業計画書の作成支援をしておりました。事業再構築補助金は元々令和3年度限りの期間限定の施策だったので、あまり詳しく書いてきませんでしたが、来年度も継続することが決定したため(全8回となる見込み)、本ブログでも取り上げたいと思います。

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事業再構築補助金とは

事業再構築補助金とは、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、新分野展開業態転換事業・業種転換事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するための補助金です。

驚くべきはその予算額で、令和2年度第3次補正予算ではなんと1兆1,485億円、令和3年度補正予算も6,123億円が計上されており、補助額も最大で1億円(!)と交付される金額がとても大きいことが特徴です。

例えば、1次試験科目である中小企業経営・政策で頻出の「ものづくり補助金」は先進設備の導入促進の意味合いもあり交付額が大きい補助金ですが、それでも通常枠は1,000万円、予算額も2,000億円と比べ物になりません。

コロナ禍というピンチを、中小企業の経営革新で日本経済復興のチャンスに変えたいという意気込みが感じられます。

中小企業庁は、事業再構築の具体的イメージとして以下を挙げています。

  • 喫茶店経営の飲食スペースを縮小し、新たにコーヒー豆や焼き菓子のテイクアウト販売を実施。
  • 衣料販売店が、衣料品のネット販売サブスクリプション形式サービス事業に業態を転換。
  • 航空機部品製造の企業が、ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新たに立ち上げ。

中小企業診断士が大活躍!

補助金は助成金と違い、申請すれば必ずもらえるというものではありません。厳正な審査の結果、採択された企業のみ交付を受けることができます。

どんな審査が行われるかは具体的には公開されていませんが、だいたい以下の観点でチェックが行われます。

  • 申請基準を満たしているか(売上減少要件など)
  • 売上増加や付加価値額の向上に繋がる事業計画か
  • 実現可能性が認められるか

要は「コロナ禍の影響で既存事業の売上が低迷していて、事業再構築を行うことで売上がV字回復し、ひいては雇用創出など日本経済にとってプラスとなる」場合に国が支援しますよ、ということです。

認定支援機関との事業計画書作成が求められる

補助金の目的が壮大な分、条件が複雑で申請のハードルは高いです。例えば第7回の公募要領(通常枠)は以下のとおりとなっています。

第7回申請基準
  1. 事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること【事業再構築要件】
  2. 2020 年 4 月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前(2019 年又は 2020 年1月~3月)の同3か月の合計売上高と比較して 10%以上減少していること等【売上高等減少要件】
  3. 事業計画を認定経営革新等支援機関と策定すること。補助金額が 3,000 万円を超える案件は認定経営革新等支援機関及び金融機関(金融機関が認定経営革新等支援機関であれば当該金融機関のみでも可)と策定していること【認定支援機関要件】
  4. 補助事業終了後 3~5 年で付加価値額の年率平均 3.0%以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均 3.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること【付加価値額要件】

このほかにも細かい分岐条件がたくさんあり、中小企業の社長さんが一人で書類を揃えて申請するのは無理ゲーに近いです…。

ただ、中小企業庁もそこは分かっていて、③に事業計画を認定経営革新等支援機関と策定することという条件を加えています。社長さんたちはプロとタッグを組んでの事業計画書づくりを通じ、色々なことを検討することになります。そうするうちに「アイデア」が「カタチ」となっていき、自信を持って推進していくことができるというわけですね。

認定経営革新等支援機関ごとの採択率

認定経営革新等支援機関(認定支援機関)は然るべき手続きを経て経済産業省からの認定を受けた企業・団体のことです。認定支援機関を取得している企業・団体は銀行などの金融機関から民間のコンサルティング会社まで様々です。その中にはもちろん中小企業診断士の方々も含まれます

どの認定支援機関も「経営のプロとしてアドバイスすること」を国から認定を受けているわけで、中小企業の強い味方であることは間違いないのですが、やはり得意不得意があり、事業再構築補助金の採択率は多少のバラつきがあります。

上記は第1回目~第5回の認定支援機関ごとの採択率です。採択件数の絶対数は地銀や信用金庫が多いのですが、採択率でみると中小企業診断士はなんと1位です(応募数の合計が3,000件未満の認定支援機関は除外)。まさに面目躍如という感じですね!

ちなみに上記区分が銀行や税理士となっていても、「認定を受けていない中小企業診断士」が実際の支援しているケースもたくさんあります(私もその一人です)。また、審査する側にも中小企業診断士が多数従事しています。つまり、事業再構築補助金施策では中小企業診断士が大活躍しているということです。

なぜ中小企業診断士が活躍しているか

なぜこれほどまでに中小企業診断士が活躍しているかというと、やはり申請内容にあると思います。簡単にご紹介しましょう。

事業計画書の内容

第1回~第7回まで、概ね以下のような内容を盛り込むよう公募要領に記載されています。

補助事業の具体的取組内容

① 現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、今回の補助事業で実施する新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組について具体的に記載してください。

事業再構築補助金(第7回)公募要領より抜粋

早速出ました、2次試験では必須知識であるSWOT分析です。自社の強み・弱みを見つめなおし、外部環境(機会・脅威)を分析したうえで「強みを機会にぶつける」ストーリー作り(骨子)が求められます。

将来の展望

① 本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性収益性や課題やリスクとその解決方法などを記載してください。

事業再構築補助金(第7回)公募要領より抜粋

ここも2次試験のポイントがてんこ盛りです。「だなどこ(誰に何をどのように)」「差別化戦略」などを現実に照らし合わせて策定していく必要があります。その為には、マーケティングの知識が不可欠です。

収益計画

① 本事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等について具体的に記載してください。
② 収益計画(表)における「付加価値額」の算出については、算出根拠を記載してください。
③ 収益計画(表)で示された数値は、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等において伸び率の達成状況の確認を行います。

事業再構築補助金(第7回)公募要領より抜粋

ここでは財務・会計の知識がフル稼働です。財務諸表は読めて当たり前その上で、新規事業による売上予測、新規購入する資産の減価償却費など、色々な要素を鑑みて収益計画を作成していかなければなりません。事業計画書の中でも一番時間と労力がかかる部分だと思います。

付加価値額の定義はまちまちですが、事業再構築補助金における付加価値額は「営業利益+人件費+減価償却費」です。財務・会計や中小企業経営・政策ではこういう類いの問題も出題されますよね~。

実際は他にも記載すべき項目があるので、何十ページも書かなくてはならないかと思いきや、「A4サイズで計15ページ以内(補助金額1,500万円以下の場合は計10ページ以内)で作成してください」となっており、要約力も必要となってきます。

さらに採択結果表示のために「事業計画書名(30字以内)」「事業計画概要(100字以内)」を決めるのですが、字数制限がもう完全に2次試験です。

試験勉強を通じて鍛えられている

ここまででもうお気づきかと思いますが、中小企業診断士試験は上記のような公的事業の支援に必要な知識・スキルが一通り網羅されています。試験勉強を通じて自然と鍛えられているわけです。これらが大きな強みとなって、中小企業診断士の活躍に繋がっているのではないかと推察します。

実際、試験合格後にいきなり補助金申請のご支援をすることになっても、大抵の場合はなんとかなります。違うのは報酬が発生することと、失敗した場合は自分ではなく顧客を悲しませるというところです。責任重大な仕事であることは間違いなく、受けたからには連日深夜作業を厭わない覚悟が必要です。

まとめ

如何でしたでしょうか?

中小企業診断士は独占業務が無いので不安に思う人も多いと思いますが、国・自治体の事業や公的支援についてはやはり大きなアドバンテージがあると言っていいでしょう。補助金申請業務は新米診断士にもお声がかかりやすいので、合格後に機会があれば是非やってみましょう。メチャクチャ大変ですが、採択された時の喜びも大きいですよ!

ちなみに補助金申請は成功報酬を付けることが多く、相場は採択額の10~20%程度が多いようです(顧客との直接契約の場合)。特に事業再構築補助金は交付額が大きいので、たくさん支援して大儲けしている人もいるようですが、ぶらんちにはムリですね…。1つ作成するのにあんなにパワーを使うのに、どうやって同時に何件もやっているんでしょうかね…?

ABOUT ME
ぶらんち
ぶらんち
中小企業診断士
システムエンジニアとして14年間キャリアを積んだ後にコンサルティングファームに転職。ITコンサルタントとして従事する傍ら、中小企業診断士として伴走支援を実施中。
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