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【実務補習】根拠を上手に盛り込もう!1次データ・2次データの使い方

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こんにちは。ぶらんちです。今年も実務補習の季節がやってきました。これから様々な業界・業種の中小企業の悩みを聞き、ご自身の経験や中小企業診断士試験を通じて培った知識・スキルを総動員して診断報告書を作成することとなります。

診断報告書で大事なことは、根拠の提示です。いくら素晴らしい提案だったとしても、「それって信じていいの?」「実現性はあるの?」と疑われてしまうと、残念ながら実行してくれません。

そこで今回は、1次データと2次データを上手な使い方について解説します。

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1次データ・2次データとは

そもそも1次データ・2次データとは何でしょうか?

1次データとは自社で集めたオリジナルデータです。意識調査や通行量調査など、自社で調査対象や調査方法などを決めることが出来るので、知りたい情報をピンポイントで収集することができます。下準備から調査の実施、そして結果の取りまとめまで時間を要しますが、強みや差別化につながる新たな発見があるかもしれません。かなりの労力を要しますので、実務補習の中で1次データを収集することはまずありません。

一方、2次データとは公開されているレポートや資料のことです。市場動向のように一企業が到底集めることが出来ないようなデータもすぐに入手することができます。期間の短い実務補習においては、2次データをどう活用するかがポイントとなることが多いです。

どう使い分ける?

診断報告書の流れは、大まかにいうと「SWOT分析→課題の抽出→改善提案」となっています。なのでSWOT分析で出てこないことを改善提案することはないです。1次データ・2次データは、「機会」「脅威」を分析する上で欠かせない情報となります。

ただ、実際は社長から強みと弱み、そして解決したい悩みから改善提案の仮説を立てて、その証拠となる2次データを集めることが多いです。1次データはそれらを補強するものとして使います。

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具体例

お題

X市にあるB社はコロナ禍により業績が悪化しており、新事業により収益の柱を増やしたいと考えている。そこで、X 市周辺の主婦層の顧客獲得をめざし、豆腐やおからを材料とする菓子類の新規開発、移動販売を検討したい。

ちなみにB社は、「豆腐丼」が人気の豆腐屋さんである。

どこかで聞いたことがある設定ですが、コロナ禍による業績悪化を移動販売により穴埋めしたい、というのがB社社長の想いのようです。想いは叶えてあげたいので、肯定的な目線で2次データを収集するのが基本的なスタンスです。「実際にはそうではない」「どう肯定的に解釈しても難しい」といった、反証的なデータが集まった場合には現状に即した別提案をします。

まずは現状分析

まずは豆腐業界の動向をチェックします。東京商工リサーチによると、国内の豆腐製造業・同小売業(以下、豆腐業者)は縮小傾向であり、591社の2019年度売上高は、2,450億7,900万円(前年度比0.6%減)で、約半数の267社(構成比45.1%)が前年度より売上高が減少しています。売上高50億円以上の大手業者は9社(同1.5%)にとどまり、典型的な零細企業に支えられた市場であるのが特徴です。

また、総務省「家計調査」によると、1世帯当たりの豆腐の消費額は、2007年は5,329円だったのものが2021年には4,042円まで減少しており(△24.2%減)、消費の面からも右肩下がりであると言えます。

2次データから豆腐業界は縮小傾向であり、「新規事業で収益を拡大したい」というのは方向性として間違っていないことが分かりました。

新製品の需要検証

「豆腐やおからを原料とするお菓子」にどれほどのニーズがありそうでしょうか?リサーチ会社である(株)インテージの行った健康に関するアンケート調査(コロナ禍で「変化した」ことと「収束後も定着する・変化が進む」こと)によると、変化が大きい項目として「免疫力」「栄養補給」「スポーツ・運動」の意識が高まっていることが分かりました。

おからを原料としたお菓子を作る場合、乾燥おから(おからパウダー)に加工することになりますが、一般社団法人 日本乾燥おから協会によると、加盟5社の2018年度生産量は合計2,195トン、昨年比136%の大幅アップとなっており、人気が高まっていることが分かります。

総合すると、豆腐・おからの持つ健康食品のイメージをアピールすれば、一定数の顧客は獲得できそうです。

本格的に提案するには1次データが不可欠

ここまで2次データだけで分析してきましたが、本来は1次データの収集が必要不可欠です。本当に欲しい統計情報は、X市内での需要だったり、より集客が見込める移動販売ルートだったりするのですが、これらは2次データからは分かりません。

試作品をX市内の女性層にテスト販売してアンケートを集める、通行量調査などを行って移動販売ルートを検討するなど、1次データを積み重ねて成功確率を上げていく必要があります。

実務補習ではそこまですることは出来ないので、残念ながら社長から100点をもらえることはほとんど無いです。ただ、今ある1次データ(販売実績やアンケート調査結果など)を詳細に分析することで、現実的で妥当性の高い提案に近づけることはできます

また、「1次データの収集方法や結果に対する次のアクション」なんかを盛り込めれば、もしかすると社長さんが実践してくれるかもしれません。そこまで行けたら、中小企業診断士らしい素晴らしい診断報告書と言えますね!

まとめ

如何でしたでしょうか?

今回は色々なところから2次データを引っ張ってきましたが、情報を取捨選択するときには公的機関のデータを優先するようにしましょう。一般的には国の調査が最も信頼できる情報と判断されるため、診断報告書の信ぴょう性も上がります。

国の統計データはお金もかからないし集めやすい(詳細は以下の記事ご参照)ので、どんどん活用しましょう!

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中小企業診断士
システムエンジニアとして14年間キャリアを積んだ後にコンサルティングファームに転職。ITコンサルタントとして従事する傍ら、中小企業診断士として伴走支援を実施中。
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