まだ諦めない!得点調整について

こんにちは。ぶらんちです。1次本試験を受験された皆さま、お疲れさまでした!
手応えの方は如何でしたでしょうか?自己採点結果で「ダメだった…」という方も、まだ諦めてはいけません。中小企業診断士試験は、しばしば得点調整が入る可能性があるからです。今回は中小企業診断士試験の得点調整についてご紹介します。
得点調整とは
得点調整とは、試験終了後に作問ミスが発覚したり、難易度調整が上手くいかず想定よりも平均点が低かった場合に行われる特別措置のことです。直近7年間においては、令和元年度を除きほぼ毎年いずれかの科目で得点調整が行われています。

さらに遡って調べてみましたが、1次試験科目合格が導入された平成18年度から令和3年度までの16回のうち、得点調整が全く無かったのは3回しかありませんでした。
得点調整内容
平成28年度
平成28年度は全体的に非常に難易度が高かったようで、1次試験の合格基準の引き下げが行われました。さらに経営情報システムにおいては受験生の得点に4点を加点するという追加措置まで行っています。
合格基準は、本年度の得点水準を勘案し、「総点数の59%以上であって、かつ、1科目でも満点の40%未満のないこと」としました。また、「経営情報システム」については、本年度の得点水準を勘案し、受験者の得点に4点を加算しました。
総得点の59%以上ということは、7科目で413点以上取れば合格です。通常は420点以上で合格ですから、7点の基準引き下げがあったということですね。さらに経営情報システムは4点加点されていますので、全体で11点の得点調整となります。
ただ、難易度が高いが故の得点調整なので焼け石に水という受験生は多かったと思います。実際合格率は高いわけではないので…。
実施年度 | 1次受験者数 | 1次合格者数 | 1次合格率 | 前年度比較 |
---|---|---|---|---|
H28 | 13,605人 | 2,404人 | 17.7% | △8.3% |
H29 | 14,343人 | 3,106人 | 21.7% | +4.0% |
H30 | 13,773人 | 3,236人 | 23.5% | +1.8% |
R1 | 14,691人 | 4,444人 | 30.2% | +6.7% |
R2 | 11,785人 | 5,005人 | 42.5% | +12.3% |
R3 | 16,057人 | 5,839人 | 36.4% | △6.1% |
平成29年度
経営法務の解答発表にミスがあり、問題自体には誤りはなかったにも関わらず受験生全員が正解扱いとする措置が行われました。当時の受験生にとってはラッキー加点となりました。
平成29年8月7日に、当協会のホームページにおいて、標記第1次試験にかかる正解・配点を公表いたしました。
その後、「経営法務」の第6問の設問2について、公表されている正解が違うのではないか、という指摘が外部の方から8月15日にあり、正解を再確認しましたところ、公表した正解に記載ミスがあることが判明いたしました。
(中略)
また、今回の正解の訂正は、出題した問題自体の誤りによるものではありませんが、当協会のミスにより受験者の皆様方にご迷惑をおかけしたことから、すべての受験者の解答を正解として取り扱わせていただくことといたします。
平成30年度
経営法務が激烈に難しく、たくさんの受験生が涙を飲みました(ぶらんちもその一人でした)。得点調整も史上初の8点加点が行われましたが、それこそ焼け石に水、合格率5.1%と非常に低かったです。
実施年度 | H29 | H30 | R1 | R2 | R3 |
---|---|---|---|---|---|
経営法務 | 8.4% | 5.1% | 10.1% | 12.0% | 12.8% |
平成30年度はもう一つ、「財務・会計」の答案用紙が1枚所在不明になるという事件がありました。協会は当該者に対し謝罪し、「財務・会計」を科目合格扱いとすることが公表されています。
「俺の答案も紛失してくれ…」と考えてしまった受験生は多かったと思います(汗)。
令和元年度
1次合格率が史上初めて30%越えとなった年度ということもあり、残念ながら(?)特に得点調整はありませんでした。
令和2年度
全体に関わる得点調整はありませんでしたが、幕張メッセの会場で一部の受験生の問題用紙の配布が開始時間に間に合わないという事故がありました。
令和2年7月11日・12日に実施した中小企業診断士第1次試験について、1日目第1時限(科目:経済学・経済政策)に際し、幕張メッセ会場(展示ホール3)において、一部の受験者(12名)について問題用紙の配布遅れが生じたことにより、適正な試験時間の確保がなされなかったことが認められました。
これらの受験者に対しては、「経済学・経済政策」の得点を補正して1点加点する措置を講ずることとし、郵送にてこの旨をご通知いたしました。
当時誰も経験していないコロナ禍における開催で、ソーシャルディスタンスを保つため幕張メッセという大規模会場を利用したために起こったことで、運営側の準備も大変だったことは想像に難くないです。
ただ当事者にとっては、「え、配られてないのにもう始まっちゃうんだけど…!」と動揺したことは間違いないし、その代償が1点加点で釣り合っているのかと言えば、…どうでしょうか?
令和3年度
「中小企業経営・政策」において、試験当日に没問が発表されるという珍事がありました。
令和3年度 中小企業経営・政策 第24問
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
中小企業等事業再構築促進事業は、新分野展開や業態転換、事業・業種転換、事業再編またはこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援するものである。
この事業の対象となるのは、原則として以下(1)と(2)の両方を満たす中小企業等である。
(1)2020 年 10 月以降の連続する[ A ] のうち、任意の 3 か月の合計売上高が、コロナ以前の同 3 か月の合計売上高と比較して[ B ] していること。
(2)経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った 3 ~ 5 年の事業計画書を認定経営革新等支援機関等と共同で策定すること。
また、この事業で、中小企業等に対する補助は、「通常枠」と「卒業枠」等に分けられている。ここで、「卒業枠」とは、事業計画期間内に、①事業再編、②新規設備投資、③[ C ] のいずれかにより、資本金または従業員を増やし、中小企業等から中堅・大企業等へ成長する事業者向けの特別枠である。「卒業枠」の補助額は、「通常枠」に比べ大きくなっている。
(設問 1 )
文中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
ア A: 6 か月間 B:10 %以上減少
イ A: 6 か月間 B:30 %以上減少
ウ A:10 か月間 B:10 %以上減少
いわゆる「事業再構築補助金」に関する問題です。おそらく本来は「ア」を正解にしたかったと思うのですが、試験とちょうど同じ時期の公募(第3回)から、売上減少要件が変更されていました。
<事業再構築補助金第3回からの変更点>
売上高10%減少要件の対象期間を2020年10月以降から2020年4月以降に拡大する。ただし、2020年9月以前を対象月とした場合、2020年10月以降売上高が5%以上減少していることを条件とする。 売上高は増加しているものの利益が圧迫され、業況が厳しい事業者を対象とするため、売上高10%減少要件は、付加価値額の減少でも要件を満たすこととする。
中小企業診断士1次試験の案内には「法令に関する問題については、原則として、中小企業診断士試験が実施される日に施行されている法令に基づいて出題します。」と記載があるので、試験当日時点で与件文(1)の記載が不適切と判断され、没問としたようです。こちらは採点の対象外ということで告知されました。
ただ、後にもう2つ没問が発覚しました。1つは第22問(設問1)の「中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律」についての問題なのですが、なんと令和2年10月1日に廃止されている法令だったんです。
また、設問2「特定ものづくり基盤技術」も根拠法が異なるということで没問となり、全員正解(5点加点)という措置が取られました。
令和4年度
令和4年度は2科目(運営管理/経営情報システム)で1問ずつ没問がありました。どちらも全員正解(合計6点加点)という措置がとられました。出題ミスによる加点としてはかなり大きく、当確線上の受験生の中には本当の意味で「救済された」ケースもあったと想像されます。

まとめ
如何でしたでしょうか?
得点調整は理由があって行われるものなので、これにより合格率が急浮上するということはありません。ただ、自己採点で当確ライン上にいる受験生は、望みを捨てず2次対策を進めるのが良いと思います!

