1次試験対策

【企業経営理論】ドメインとは

こんにちは。ぶらんちです。今回は企業経営理論の中でも最初期に勉強するであろう「ドメイン」の考え方について解説します。2次試験でも重要な考え方ですので、ぜひともマスターしましょう!

ドメインとは

ドメインとは簡単にいうと、企業として「誰に、何を、どのように」価値を提供していくか定義することです。「誰に、何を、どのように」自体はマーケティングで良く用いられる概念ですが、それよりももっと大きな範囲から定義していくイメージです。

ドメインには、企業ドメイン事業ドメインがあります。

企業ドメイン

企業ドメインは展開していく事業の範囲、あるいは事業ポートフォリオを定義することであり、企業としての特色を決めることです。

定義の仕方には以下の2種類があります。

  • 物理的定義
  • 機能定義

物理的定義

「モノ」を中心にドメインを定義していく手法です。鉄道会社が「鉄道」を中心にドメインを定義するイメージです。物理的定義でドメインを設定すると、分かりやすい反面発想は狭くなります

機能的定義

「コト」を中心にドメインを定義していく手法です。鉄道会社が「運ぶ」を中心にドメインを定義するイメージです。「運ぶ」のように機能的定義でドメインを設定すると、抽象的で分かりづらくなる半面、「鉄道にこだわらず自動車でも飛行機でもサービスを提供しよう」等、発想が広がり時流の変化に対応しやすくなります

事業ドメイン

一方、事業ドメインは「どんな顧客に、どんな機能を、どんな技術によって」価値を提供するかを定義することです(エーベルの3次元枠組)。企業は複数の事業展開をすることがありますが(多角化)、その際は事業ドメインを複数もつこととなります。

企業ドメインは、全ての事業ドメインを包括します。言い換えると、事業ドメインは企業ドメインから外れていることはありません。外部環境などの変化で、事業ドメインを抜本的に見直す必要が出てきた場合には、まず企業ドメインの見直しを行います。

具体例

分かりやすい例に永谷園があります。永谷園はお茶漬けで有名ですが、企業理念の「味ひとすじ」も同じく有名です。

味ひとすじ(今までにない/お客さまに「なるほど、おいしい」と感じてもらえる/他社にマネできない)を企業ドメインに据えることで、お茶漬けのみならず即席みそ汁やチャーハンの素など、独自色あふれる様々な商品展開を行っています。

ドメインを定義する意義

ドメインを定義することは、以下のような意義を持ちます。

  • 企業として意思決定を明確化する
  • 経営資源の集中度合いを決定する
  • 企業全体としての一体感を醸成する

ドメインを設定せずに企業経営を行えば、意思決定の方向性がバラバラで一貫性が無くなります。その時々の判断により経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を配分することになるので、長期的には多くの無駄が生じるでしょう。従業員も企業がどこを目指しているのかが分からないので、一体感をもって業務に当たることが難しくなります。

1次試験での出題傾向

1次試験では企業経営理論において、ドメインの定義に関する問題が毎年の様に出題されます。しかも第1問など序盤に登場することが多いです。いきなりつまずくと焦りが出てしまうので、気持ちよく正解して勢いをつけたいところです。

令和元年度企業経営理論 第1問
多角化して複数の事業を営む企業の企業ドメインと事業ドメインの決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。


企業ドメインの決定は、個々の事業の定義を足し合わせるのではなく、外部の利害関係者との間のさまざまな相互作用の範囲を反映し、事業の定義を見直す契機となる。


企業ドメインの決定は、新規事業進出分野の中心となる顧客セグメント選択の判断に影響し、競争戦略策定の出発点として差別化の基本方針を提供する。


事業ドメインの決定は、将来手がける事業をどう定義するかの決定であり、日常のオペレーションに直接関連し、全社戦略策定の第一歩として競争戦略に結び付ける役割を果たす。


事業ドメインの決定は、多角化の広がりの程度を決め、部門横断的な活動や製品・事業分野との関連性とともに、将来の企業のあるべき姿や経営理念を包含している存続領域を示す。


事業ドメインの決定は、特定市場での競争戦略に影響を受け、将来の事業領域の範囲をどう定義するかについて、企業が自らの相互作用の対象として選択した事業ポートフォリオの決定である。

90分間の最初にこの問題は萎えますよね…。メチャクチャややこしいですが、正解はアです。

は事業ドメインのことです。新規事業進出差別化などは事業戦略で考えることであり、このような用語が出てきたら事業ドメインのことだと考えて間違いないです。

は逆に企業ドメインのことです。将来全社などの用語が出てきたら企業ドメインと考えてよいです。

将来あるべき姿経営理念とあるので企業ドメインのことですね。

にも将来とあるので企業ドメインです。事業ポートフォリオとは各事業の組み合わせのことで、こちらも企業ドメインで策定する事項です。

2次試験での出題傾向

2次試験事例Ⅰにおいては、「ドメインをどう定義しているか」は必ず確認する内容です。ドメインを誤って定義したことによる失敗、正しく定義したことによる成功、が焦点となることが多いです。

令和元年度事例Ⅰ 第1問

A社長がトップに就任する以前のA社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。

令和元年度のA社は農作物の乾燥技術に強みを持つ中小メーカーです。
A社は当初葉たばこ乾燥機で業績を伸ばしていましたが、たばこ産業が衰退するにつれ業績も下がっていきます。そこで、自社製品のメンテナンス事業化に取り組むのですが失敗します。何故でしょうか?という設問です。

要因はいろいろありますが、結局のところ「たばこ産業が縮小していて、頑張っても儲からない事業領域だった」って話です。時代が変わり、事業ドメインが合わなくなっていたってことですよね。

ちなみに前年の平成30年度事例Ⅰでは、開発した製品を販売した時点で取引が完了する売切り型事業の限界を打破するため、トナーや消耗品などで継続的に安定した収入が得られる複写機関連製品事業を行う事例が出てきます。

当時ぶらんちは過去問をやり込んでいたためか、「継続的な取引=善」という刷り込みがあり、「メンテナンス事業の悪いところって何だ??」となかなか考えがまとまらなかったです。

平成30年度の事例も、実は外部環境の変化によって複写機関連事業が先細りになる描写があり、継続的な取引に安住してはいけないことを隠喩しています。令和2年度はその点を出題しているとも捉えられるのですが、まぁ年度を跨いだ壮大な引っ掛け問題ですよね…。

ちなみにこの後、A社は改革を行うのですが、その中で以下の一文が登場します。

自社のコアテクノロジーを「農作物の乾燥技術」と明確に位置づけ、それを社員に共有させることによって、葉たばこ乾燥機製造に代わる新規事業開発の体制強化を打ち出した。

令和元年度事例Ⅰ与件文

つまり、企業ドメインを「農作物の乾燥技術」と機能的(コト)に再定義することで、新たな発想で事業展開できるようにしたんですね。

それ以前の企業ドメインは明言されていないものの、メンテナンス事業を始めたり、新製品開発について簡単に受け入れられない古参社員の描写から、企業ドメインを「乾燥機(特に葉たばこ乾燥機)」といった物理的定義(モノ)としていたか、そもそもキチンと定義していなかったかのどちらかだと思われます。

まとめ

如何でしたでしょうか。

ドメインは、経営戦略の中でも根底にある考え方だと思います。テキストとかだと数ページしかなかったりしますが、本試験ではよく出てきます。絶対に押さえておきたいですね!

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