定量と定性の違い
こんにちは。ぶらんちです。今回は定量と定性についてです。皆さんは資料を作成する際、「もっと定量的に書いて」と指摘を受けたことはありませんか?
企業活動において重要なのは定量面です。この辺りも含めて解説したいと思います。
定量と定性の違い
定量とは
定量とは「数字で表せる要素」のことです。定量的・定量面といったら「物事を数字で表したもの」ということになります。売上高、利益率、顧客数、時間といったものが該当します。
ビジネスの場において、認識齟齬によるミスというものはよく発生します。例えば「急いでやって!」とお願いしても、受け手が「急いで=今日の帰りまでに」と感じればすぐには着手してくれないかもしれません。「15:00までにやって!」など数字を入れることにより、話し手と受け手の認識を合わせることが出来ます。
定性とは
定性とは「数字で表せない要素」のことです。定量とは逆ですね。経営理念、社訓、考え方、感情、デザインといったものが該当します。
例えば状況が複雑で認識合わせが難しい時に、「要は…」とまとめる時がありますよね。物事の共通点や本質といったものは定性的な表現になることが多いです。
定量=具体的、定性=抽象的
定性的な表現は抽象的になりやすく、定量的な表現は具体的になりやすいです。企業理念や経営ビジョンなどの上位層においては定性的な表現が多く、計画実行時には定量的な表現になっていきます。
そのため、日常的な場面においては基本的に定量的な表現が求められます。例えば「この施策を行えば売上が向上します」よりも「売上が10%UPします」とした方がよいですよね。売上10%UPの根拠や、施策を行うための投資額、利益率など数字で説明することにより、共通認識を持って推進していくことができます。
https://branchpine.com/archives/2475定量面と定性面の両面での分析を
平成26年度事例Ⅱ 第3問
以下の表は、顧客データベースから算出された介護付きツアーのデシル分析* の結果である。これは、顧客リストからランダムに抽出された 100 世帯の 3 年分の利用実績データを集計したものである。集計は 1 世帯単位で行われている。商品は3泊4日の国内ツアーのみであり、支援・介護レベルもほぼ同一の顧客を対象としている。デシル分析結果をもとに、下記の設問に答えよ。* デシル分析とは、全顧客を一定期間における総利用金額の高い順に 10 等分し、そ の売上構成比を分析するものである。金額の高い順にデシル 1、デシル 2、デシル 3…と続く。
(設問2)
デシル分析結果から、上位顧客と下位顧客の総利用金額の差がどのような要因によって生じているか、数値を用いて説明せよ。その結果から導かれる B 社が戦略的にターゲットとすべき顧客像と併せて120 字以内で述べよ。
平成26年度事例ⅡのB社は旅行業者です。本問では介護付きツアーという新規事業の顧客データを分析しています。設問要求の「数値を用いて」というのがまさに定量面です。
ただ、数字ばかり追いかけていても「戦略的にターゲットとすべき顧客像」は浮かんできません。
例えば、上位顧客と下位顧客で平均客単価はそう大きく変わりません。分析対象の100世帯は参加した商品(3泊4日の国内ツアー)、支援・介護レベル、付き添い家族の人数(1名)と条件は全て同じなので、「このツアーは1回20万円である」ということが分かります。
では上位顧客と下位顧客の金額の差は何でしょうか?ここで思い出したいのが売上算出の公式です。
売上=客数×客単価×購入頻度
客数は10世帯の均等割り、客単価は一律となると、残るは購入頻度(リピート率)です。実際に1世帯当たりの平均総利用額を平均客単価を割ってみると、デシル1では3.9回、デシル10では1.09回と大きな開きがあります。つまりB社の課題は「リピート率の向上」であり、戦略的にターゲットとすべきは「リピート率の低い世帯」ということです。
このように、定量面だけでなく定性面も検討することで、多角的な分析に繋がります。この後「リピート率が低いのはなぜか」「どんな施策が効果的か」といった定性的な検討と、「実施回数は何回にするか」「費用対効果がどの程度か」といった定量的な検討を組み合わせることで課題解決に向けて取り組みをしていくことになるわけです。
まとめ
如何でしたでしょうか?
人は定性的な表現が好きです。定量的な表現は共通認識化しやすい反面、根拠集めが必要だったり未達成が明確になってしまう等、総じて面倒くさいからです。
ただ、「とにかく頑張る」という目標を立てても何も行動に結びつきません。「1週間で3冊読書する」「3ヵ月で5kg減量する」といった定量的な表現とすることを常に心がけましょう!