1次試験対策
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出たらサービス問題!デリバティブ

branchpine
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こんにちは。ぶらんちです。今回はデリバティブ(金融派生商品)の話です。

事例Ⅳでは最終問題に論述として出題されることが多いです。最近はあまり出題されていませんが、もし出題された場合にはサービス問題となる可能性大ですので、必ず押さえておきましょう!

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為替とは

為替とは、異なる2国間の通貨を交換することです。為替レート(為替相場)とは、為替取引の際の通貨交換比率のことです。例えば為替レートが1ドル100円の場合、100円で1ドルを購入することができます(手数料を除く)。

為替レートは為替市場にて毎日変動します。この時、円の相対価値が高まれば円高、低くなれば円安です。例えば1ドル100円から1ドル101円になった場合は円安、1ドル99円になった場合は円高です。混乱しやすい場合は、円の視点で考えると分かりやすいかと思います。

同じ1ドルを買うのに、少ない円で買える時は円の価値が高いので円高多く円が必要な時は円安です。

為替リスクとは

輸出を行う場合、ドル払いであれば代金はドルで受け取ることになります。受け取ったドルはそのまま国内で使用することは出来ないので、銀行等の金融機関で円に両替(ドルの売却)します。

「国内で両替する」ところまでイメージするのがポイントです。

変な格好の人たちが取引していますが、気にしないでくださいw

売値は契約時に決めるので、その時の為替レートで換算します。1ドル100円の時に100万円のものを売る場合、売値は1万ドルです。

ところがドルで受け取った後に銀行で両替するまでの間に、90円/ドル円高)になってしまったとします。すると受け取った1万ドルは90万円にしかならず、想定よりも10万円損をすることになります。

為替リスクとは為替レートの変動により利益が目減りしてしまうことです。目減りした利益のことを為替差損といい、上記の場合は為替差損10万円ということになります。

尚、110円/ドル(円安)となっていた場合は、1万ドル=110万円となり利益が笠増しされます。この場合は為替差益10万円となります。

  • 為替が影響するのは金融機関での両替(通貨取引)
  • 輸出においては、円高の場合に為替差損が発生
  • 円安の場合は為替差益が発生

輸入の場合は逆

一方、輸入の場合はどうでしょうか。こちらもドル払いの場合は銀行等の金融機関で円をドルに両替(ドルの購入)してから代金を支払います。

輸出の場合と同じく契約と代金支払いにタイムラグがあるので、為替リスクが存在します。

1万ドルの商品を輸入する際、契約時1ドル100円であれば100万円の両替が必要となる想定です。ただ、もし両替のタイミングで90円/ドル(円高)になっていると、1万ドルの購入資金(両替)は90万円で済みますから、為替差益が発生します。逆に、110円/ドル(円安)だった場合、1万ドルの購入資金(両替)は110百万円となり、為替差損が発生することになります。

  • 輸入においては、円高の場合に為替差益が発生
  • 円安の場合は為替差損が発生

自動車メーカーで考えると、円高の場合海外からの部品調達で為替差益が発生しますが、最終製品(クルマ)を海外へ販売する際に為替差損が発生します。最終製品の方が金額が大きいので、円高では損失を被ることとなります。

一方、円安の場合輸出の為替差益の恩恵により、利益が大きく向上します。

為替リスクの回避策

中小企業診断士試験として出題される為替リスク回避策は主に為替予約取引オプション取引の2つです。

為替予約取引

為替予約とは、予め将来の為替レートを金融機関と取り決めて行う取引のことです。例えば輸入の際、現在の為替レートは1ドル100円だけど将来の急激な円安が怖いというような場合に、為替予約取引により3ヵ月後の支払日(決済)の為替レートを1ドル105円と決めてしまう、ということです。

為替予約をすることで為替レートの動きでどう為替リスクが変化するのか見てみましょう。

為替予約を行うことにより、3ヵ月後の想定支払額を105万円に確定できましたね。これで急激な円安も怖くないです。ただし、為替予約では必ず為替差損が発生します(金融機関も不利な取引はしないので)。

  • 為替予約取引は、将来の為替レートを確定することで為替リスクを軽減する
  • ただし、必ず為替差損が発生する

オプション取引

為替取引では、オプション取引とは、「決まった期日(期間)に決められた価格で買うことのできる権利」を取引することです。権利なので、行使するか放棄するかを決めることができます。ちなみに権利を買うために支払う代金をオプションプレミアムと言います。

オプション取引には以下2種類があります。

  • コールオプション
    決められた価格で買う権利
  • プットオプション
    決められた価格で売る権利

コールオプション

満期日の為替レート(原資産価格)が権利行使価格を上回った時に権利行使することで、差額の利益を得ることができます。コールオプションは主に輸入の際に利用します。

例えばコールオプション(100円/ドル)をオプションプレミアム20円/ドルで購入したとします(満期日は3か月後)。一方、代金の支払いは3か月後に1万ドルで、契約当時の為替レートは100円/ドルです。

この時、もし満期日の為替レートが150円/ドルの超円安相場になっていたら、権利を行使して100円/ドルで取引します。そうすると1万ドルの購入価格は100万円で済みます。オプションプレミアム20万円を考慮しても、オプション取引をしなかったときに比べて30万円もトクをすることができます。

一方、満期日の為替レートが70円/ドルの超円高相場となっていた場合、実勢レートで取引すれば1万ドルの購入価格は70万円で済みますので、権利を放棄します。ただしオプションプレミアム20万円は発生するので、損失は20万円です(円高による為替差益は、オプション取引の有無に関係なく発生する利益なのでカウントしません)。

プットオプション

満期日の為替レート(原資産価格)が権利行使価格を下回った時に権利行使することで、差額の利益を得ることができます。コールオプションは主に輸出の際に利用します。

今度はプットオプション(100円/ドル)をオプションプレミアム20円/ドルで購入したとします(満期日は3か月後)。一方、代金を受け取るのは3か月後に1万ドルで、契約当時の為替レートは100円/ドルです。

この時、もし満期日の為替レートが150円/ドルの超円安相場になっていたら、今度は権利を放棄して150円/ドルで取引します。オプション取引を行ったことによる損失はオプションプレミアム20万円のみとなります。
コールオプションと同様、円安による為替利益はカウントしません

一方、満期日の為替レートが70円/ドルとなっていた場合、権利を行使して100円/ドルで取引します。実勢レートで取引すれば1万ドルの売却価格100万円を確保できます。オプションプレミアム20万円を考慮しても、オプション取引をしなかった場合に比べて10万円のプラスを得ることができます。

ちなみに金融機関視点の「コールオプションの売り」「プットオプションの売り」の分析もあるのですが、まず2次試験で出題されることはないです(1次試験では出ますけどね)。

オプションの権利行使については、満期日のみ行使できる「ヨーロピアンタイプ」と、満期までの期間いつでも行使できる「アメリカンタイプ」があります。
「アメリカンタイプ」はいつでも行使できる分、プレミアムも割高です。

尚、試験対策上(特に事例Ⅳ)は、為替リスクが計算しやすい「ヨーロピアンタイプ」が主に出題されると考えてよいでしょう。

  • オプション取引は、満期日の為替レートと比較して差損益を判断する(契約当時のレートではないことに注意)
  • コールオプション輸入で使う
  • プットオプション輸出で使う
  • 2次対策上は「コールオプションの買い」「プットオプションの買い」について理解を深めておく
  • 差損益計算が求められている場合は「ヨーロピアンタイプ」と考えてよい

実践問題

平成26年度事例Ⅳ 第4問
D 社では、再度、コーヒー豆を直接買い付ける可能性を探ることにした。しかし、以前のような為替差損を計上する恐れがあるため、この為替リスクを軽減する手段の検討に入った。為替リスクを軽減する手段を2つ挙げ(a) 、それぞれの手段を用いた際、円安になった場合と、円高になった場合の影響(メリット・デメリット)について述べよ。

事例Ⅳでデリバティブが出題されるときは論述の可能性が高いです。解答もほぼ定型化しているので、内容さえ押さえておけば絶対に得点が見込めます。

ぶらんち回答案
(a)(b)
①為替予約メリットは、円安の場合に為替差損を回避できる。デメリットは、円高の場合に為替差益を享受できない。
②外貨のコールオプションの買いメリットは、円安の場合に為替差損を回避できる。デメリットは、円高の場合に為替差益を享受できるが、オプションプレミアム分の損失が発生する。

「外貨」としているのは、本事例は取引先がアメリカとは一言も書いていないからです。「ドル」と明記すると減点の可能性もあるのでご注意を。

まとめ

如何でしたでしょうか?

「サービス問題!」と謳っておきながら、ぶらんちはデリバティブが苦手で毎回混乱していました。そんな経験を活かして、なるべく本試験でも思い出せるように構成したつもりですが、なかなか難しいですね…。

ところどころにある「ポイント」「注意事項」を押さえておくだけでも、解ける問題が増えるとおもいますので、合わせてご確認いただければ幸いです!

ABOUT ME
ぶらんち
ぶらんち
中小企業診断士
システムエンジニアとして14年間キャリアを積んだ後にコンサルティングファームに転職。ITコンサルタントとして従事する傍ら、中小企業診断士として伴走支援を実施中。
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